日本歯科保存学会 優秀発表賞(優秀論文賞・優秀ポスター賞)の表彰式

新型コロナウイルス感染症感染状況を鑑み、日本歯科保存学会2022年度春季学術大会(第156回)および秋季学術大会(第157回)における各賞の表彰式は、誠に残念ながら中止となりました。

会員の皆様の前で表彰する機会がございませんでしたので、ここに優秀発表賞(優秀論文賞・優秀ポスター賞)の受賞者の先生方をご紹介申し上げます。

一昨年度・昨年度に引き続きホームページ上でのご紹介となりましたが、今後は学会場で多くの会員の皆様とお会いできることを期待しております。

2023年3月
特定非営利活動法人日本歯科保存学会
理事長 石井信之

※敬称略
※受賞者の所属および職については申請時のものです。

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2021年度 年間優秀論文賞

保存修復学分野(松風優秀論文賞)「Influence of Surface Moisture on the Bond Strength of a Universal Adhesive in the Etch-and-rinse Mode」(ODEP1巻1号掲載)
著者
杉村留奈、髙見澤俊樹、辻本暁正、岩瀬 慶、嘉月 駿、Ahmad ALKHAZALEH、Olajide OBE、宮崎真至
筆頭著者所属
日本大学歯学部保存学教室修復学講座
受賞コメント

杉村留奈

この度は、2021年度日本保存学会年間優秀論文賞(保存修復学分野)という名誉ある賞を頂戴し大変光栄に存じます。選考委員の先生方をはじめ関係の皆様に心より御礼申し上げます。
様々なユニバーサルアドヒーシブが登場し、臨床の場面でどの製品をどのような条件で使用するのが一番良いのかと悩む場面は多いかと思います。私たちはユニバーサルアドヒーシブを様々な条件下で使用した際のエナメル質および象牙質に対する接着性を日々研究しております。研究で得られた成果を根拠として、より良い医療が提供できるようこれからも精進していきたいと思います。
最後に、ご指導・ご鞭撻賜りました宮崎真至教授、高見澤俊樹准教授を始め、共同研究者の先生方にこの場を借りて深く感謝申し上げます。

杉村留奈 杉村留奈

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歯内療法学分野(ジーシー優秀論文賞)「Development of Multilayered Dental Pulp Cell Sheets and Consideration for Calcification Ability」(ODEP1巻1号掲載)
著者
小栁圭史、前田宗宏、関谷美貴、西田 太郎、五十嵐 勝
筆頭著者所属
日本歯科大学生命歯学部歯科保存学講座
受賞コメント

小栁圭史

この度は、日本歯科保存学会年間優秀論文賞(歯内療法学分野)という名誉ある賞を頂戴し、大変光栄に存じます。選考委員の先生方をはじめ、関係の皆様に心より感謝申し上げます。
近年、細胞培養では様々な手法での3次元 (3D)培養が行われており、歯科領域においても、3D培養が再生領域や歯科材料・薬剤の生体適合性の評価等に広く用いられています。
本受賞論文では、細胞シート工学の応用により、細胞シートの積層化によるスキャフォールドフリーな多層化歯髄細胞(DPC)シートのプロトコールの確立を行いました。
また、DPCシートを用い、単層培養との低酸素化領域、石灰化関連因子の検索を行い、DPCシートでは低酸素化領域の増大、Mineralization-associated marker geneの遺伝子発現増加等から石灰化の促進が認められました。
今後、DPCシート応用による再生領域および歯科材料・薬剤評価の更なる発展のため、引き続き研究を行っていきたいと考えております。
最後に五十嵐 勝教授をはじめ、日頃よりご指導頂いております先生方に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

小栁圭史 小栁圭史

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歯周病学分野(カボデンタル優秀論文賞)「循環器疾患患者におけるプロービング時の出血の有無と全身的因子の関連の検討」(64巻2号掲載)
著者
青山典生、呉 圭哲、藤井利哉、喜田さゆり、髙瀬雅大、杉原俊太郎、門田大地、三辺正人
筆頭著者所属
神奈川歯科大学大学院歯学研究科口腔統合医療学講座歯周病学分野
受賞コメント

青山典生

このたびは、日本歯科保存学会年間優秀論文賞に選考いただき、誠にありがとうございました。本学会理事長、選考委員の先生方をはじめ、関係各位に心より御礼申し上げます。
歯周病と全身との関連が指摘されている中、プロービング時の出血の程度が全身の状態と関連するかを検討する目的にて疫学研究を実施しました。その結果、プロービング時の出血と関連が強い因子として、肥満や喫煙などがあてはまることを示し、本論文において報告いたしました。
これまで、循環器疾患を中心として歯周病と全身とのかかわりについて研究を続けてまいりました。研究の遂行にあたりご指導賜りました国内外の共同研究者の方々、ご支援いただいたみなさまに、心より感謝申し上げます。この受賞を糧とし、さらに研究活動に勤しんでまいります。

青山典生

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優秀ポスター賞

2021年度春季学術大会(第154回)

研究領域A(松風優秀ポスター賞)In vivo おける多孔性ナノゲル架橋ハイブリッドゲルによる配向性を有する骨組織の再生」(P.1)
演者
足立哲也、宮本奈生、足立圭司、山本俊郎、金村成智
筆頭演者所属
京都府立医科大学大学院医学研究科歯科口腔科学
研究領域B(ジーシー優秀ポスター賞)「高脂肪食誘発型糖尿病マウスにおける歯肉創傷治癒に対するメトホルミン投与の効果」(P.6)
演者
小湊広美、水谷幸嗣、武田浩平、城戸大輔、三上理沙子、齋藤夏実、竹村修、中川佳太、岩田隆紀
筆頭演者所属
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科歯周病学分野
受賞コメント

小湊広美

この度は優秀ポスター賞を賜り、大変光栄に存じます。選考委員の先生方はじめ関係の皆様に心より御礼申し上げます。今回の受賞を励みに、今後より一層精進していきたいと思います。
御指導いただいた岩田隆紀先生、水谷幸嗣先生をはじめ、本研究の遂行を支えてくださった多くの先生方、支援してくださった関係皆様にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。

小湊広美 小湊広美

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研究領域C(カボデンタル優秀ポスター賞)「トモシンセシス法を用いたパノラマX線画像における歯周組織所見の主観的および物理学的画質評価」(P.7)
演者
杉原俊太郎、両角俊哉、三辺正人
筆頭演者所属
神奈川歯科大学歯科保存学講座歯周病学分野
受賞コメント

杉原俊太郎

この度は、2021年度春季学術大会優秀ポスター賞を頂戴し大変光栄に存じます。本学会理事長、選考委員の先生方をはじめ、関係のみなさまに心より御礼申し上げます。
本研究では、X線画像診断においてトモシンセシス法と呼ばれる画像処理法を応用することで物理学的画質評価ならびにX線画像診断における主観評価の改善が示唆されました。本研究結果は、歯科疾患診断においてその診断能の向上が図れるものと考えております。今後、引き続き研究をすすめ歯科疾患診断の一助になるよう研究活動に励んでまいります。
最後になりますが、ご指導いただいた小牧基浩先生、両角俊哉先生、青山典生先生、三辺正人先生をはじめ神奈川歯科大学歯周病学分野のみなさま、ご指導・ご支援いただいた関係各位みなさまに、心より感謝申し上げます。

杉原俊太郎

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2021年度秋季学術大会(第155回)

研究領域A(カボデンタル優秀ポスター賞)「歯肉幹細胞由来エクソソーム内包miR-1260bによる小胞体ストレス応答制御を介した歯槽骨吸収抑制作用」(P.2)
演者
林千華子、福田隆男、渡邊ゆかり、川上賢太郎、豊田真顕、中尾雄紀、四本かれん、大和寛明、新城尊徳、讃井彰一、西村英紀
筆頭演者所属
九州大学大学院歯学研究院口腔機能修復学歯周病学分野
受賞コメント

林千華子

この度は2021年度第155回日本歯科保存学会秋季学術大会にて、優秀ポスター賞をいただき、大変光栄に存じます。本研究では、絹糸結紮マウス歯周炎モデルにおいて小胞体ストレス関連ATF6βの発現が強く誘導されることを確認しました。miR-1260bの標的遺伝子であるATF6βと破骨細胞分化活性化因子RANKLとの関連を明らかにし、miR-1260bによる破骨細胞分化制御を介した歯槽骨吸収抑制効果を確認しました。本研究結果は、miR-1260bが歯周炎における歯槽骨吸収抑制のための有用なツールとなる可能性を見出しました。さらに、私たちは、miR-1260bがTNF-α処理歯肉幹細胞由来エクソソームで誘導されることと、TNF-α処理歯肉幹細胞由来エクソソームが抗炎症効果を有することも明らかにしております。今後も、歯肉幹細胞を用いた新たな歯周病治療法の開発に向けて日々邁進してまいります。
最後に、所属する九州大学歯周病学分野の西村英紀先生や福田隆男先生をはじめ、ご指導ご協力いただきました教室の皆様に深く感謝申し上げます。

林千華子 林千華子

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研究領域B(松風優秀ポスター賞)「IκBζによるH3K4のトリメチル化を介した反応性象牙質形成制御機構の解析」(P.5)
演者
鈴木茂樹、袁 航、平田-土屋志津、根本英二、齋藤正寛、柴 秀樹、山田 聡
筆頭演者所属
東北大学大学院歯学研究科エコロジー歯学講座歯内歯周治療学分野
受賞コメント

鈴木茂樹

この度は日本歯科保存学会優秀ポスター賞を賜りまして, 大変光栄に存じます. 選考委員長, 選考委員の先生方をはじめ, 関係者の皆様方に心より御礼申し上げます.
本ポスターにおいて, NF-κBの転写制御因子として知られるIκBζの遺伝子欠損マウスでは, 象牙芽細胞からの象牙質基質タンパク産生増加による象牙質形成促進が生じること, IκBζを欠失した象牙芽細胞では転写活性化マーカーであるヒストンH3のK4上のトリメチル化 (H3K4me3) が象牙芽基質タンパクコーディング遺伝子座選択的に引き起こされること, さらにはこれら現象がNF-κB非依存的であることを報告いたしました. 本研究は, 象牙質基質タンパクコーディング遺伝子群の発現を統合的に制御する機序が存在することを初めて明らかにした点において, 歯髄創傷治癒や覆髄に対するエピゲノム創薬の基盤的成果であり, ポスター発表後にJournal of Dental Researchに掲載となりました.
ご指導をいただいております山田 聡教授ならびに東北大学大学院歯内歯周治療学分野の先生方に厚く御礼申し上げます.

鈴木茂樹

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研究領域C(ジーシー優秀ポスター賞)「超音波スケーラーから発生するエアロゾルに対する吸引装置の飛散防止効果-流体工学的および模擬臨床的検討-」(P.7)
演者
高橋直紀、山縣貴幸、峯尾修平、加藤光太、多部田康一
筆頭演者所属
新潟大学大学院医歯学総合研究科歯周診断・再建学分野
受賞コメント

高橋直紀

この度は2021年度秋季学術大会(第155回)優秀ポスター賞を賜わり、大変光栄に存じます。理事長および選考委員の先生方をはじめ、関係各位に心より御礼申し上げます。
当時COVID-19の交差感染リスクとして、超音波スケーラーから発生するエアロゾルが注目されていたことから本研究の着想を得ました。微粒子可視化装置を用いた流体工学的検討から、超音波スケーラーから発生するエアロゾルの特性を明らかにしました。また感水試験紙およびパーティクルカウンターを用いた模擬臨床試験において、口腔内外バキュームの使用によってエアロゾル飛散が大きく減少することを確認しました。これらの結果から、吸引装置の適切な使用が交差感染リスクを抑制できる可能性を示し、より安全な歯科治療の実践への一助となったと考えております。
本プロジェクトの遂行にあたり、ご指導賜りました多部田康一教授、本学工学部山縣貴幸先生、加藤光太先生をはじめ、協力頂きました全ての先生方にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。

高橋直紀

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2022年度春季学術大会(第156回)

研究領域A(ジーシー優秀ポスター賞)「歯髄創傷治癒を促進するタンパク質の機能部位の探索」(P.48)
演者
渡邉昌克、岡本基岐、小道俊吾、黄 海玲、松本紗也子、森山輝一、高橋雄介、林美加子
筆頭演者所属
大阪大学大学院歯学研究科口腔分子感染制御学講座(歯科保存学教室)
受賞コメント

渡邉昌克

この度は、栄誉ある日本歯科保存学会優秀ポスター賞を賜り、大変光栄に存じます。選考委員の先生方、関係の皆様に心より御礼申し上げます。
本発表では、歯髄創傷治癒を促進すると報告されているタンパク質であるProteinS100ファミリーのアミノ酸配列からin silico における配列アライメントと、細胞を用いたハイスループットスクリーニングであるペプチドアレイ法にて、4つの機能ペプチドの候補を選出しました。この候補ペプチドを用いてラット直接覆髄実験をおこなった結果、候補の中の一つである「KLLETECPQ」という機能ペプチドが第三象牙質の形成を有意に促進することが明らかになりました、さらに本ペプチドと歯髄細胞の相互作用を質量分析にてメカニズム解析をおこなった結果、NFκBシグナル経路やMAPKシグナル経路が本ペプチドの作用に関与している可能性が示唆されました。今後は機能ペプチドのアミノ酸配列の最適化およびメカニズムの更なる詳細な解析をおこなっていく予定です。
最後に本研究をおこなう機会を与えて頂き、ご指導を賜りました大阪大学大学院歯学研究科歯科保存学講座 林 美加子教授、高橋 雄介講師をはじめ、本研究の遂行を支援いただいた多くの先生方に謹んで感謝の意を表します。

渡邉昌克

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研究領域B(カボデンタル優秀ポスター賞)「細胞内グルコース欠乏によるヒト歯肉組織の恒常性とオートファジーに及ぼす影響」(P.52)
演者
李 潤伯、嘉藤弘仁、田口洋一郎、梅田 誠
筆頭演者所属
大阪歯科大学歯周病学講座
受賞コメント

李 潤伯

この度、栄えある日本歯科保存学会優秀ポスター賞の受賞に際して、表彰楯及び副賞を賜り大変光栄に存じ、厚くお礼申し上げます。学会選考委員の先生方をはじめ、関係の皆様に心より御礼申し上げます。
本研究では、グルコースが欠乏する環境が末端歯肉組織の創傷治癒に与える影響を検討し、さらに細胞のグルコース代謝とオートファジーの関連に着目し、リン脂質結合反応系関連タンパクの解析を行いました。その結果として、歯周外科直後などの末端歯周組織における低グルコース環境はヒト歯肉線維芽細胞のオートファジーを誘導し、さらに細胞内におけるグルコース代謝経路を活性化し、創傷治癒の促進と歯肉組織の恒常性を維持することが明らかになりました。本研究の成果が歯周組織の創傷治癒におけるメカニズムの一端を解明できると考えております。
本研究の遂行にあたり、これまでご指導頂いた・梅田教授、田口洋一郎先生をはじめ、大阪歯科大学歯周病学講座のみなさまに心より感謝申し上げます。今後もこの受賞を励みに、日々精進してまいります。

李 潤伯 李 潤伯

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研究領域C(松風優秀ポスター賞)「バイオセラミックス系根管用シーラー「ニシカキャナルシーラーBG」を用いた根管充填症例の3年予後調査」(P.40)
演者
鷲尾絢子、三浦弘喜、末松美希、村田一将、相原良亮、折本 愛、藤元政考、北村知昭
筆頭演者所属
九州歯科大学口腔機能学講座口腔保存治療学分野
受賞コメント

鷲尾絢子

この度は2022年度春季学術大会(第156回)優秀ポスター賞を賜わり,大変光栄に存じます.理事長および選考委員の先生方をはじめ,関係各位に心より御礼申し上げます.
本研究では,2017年に国内初のバイオセラミックス系歯内治療用材料として製品化され,イニシャルトリートメントからリトリートメントまで使用可能な「ニシカキャナルシーラーBG(現ニシカキャナルシーラーBG multi)」を用いて根管充填を行った127症例の予後に関する調査を行いました.その結果,治療開始時に保存可能と診断された症例において,本シーラーが有用であることが示されました.また,抜歯症例の原因の多くは,根管内の感染に伴う根尖性歯周疾患由来ではなく,広範囲の骨欠損を伴うクラック/破折であることが示唆されました.今後も引き続き本シーラーを用いた根管充填症例の長期予後を追跡し,歯内療法の成功率向上の一助となることを期待しています.
本研究の遂行にあたり,ご指導賜りました北村知昭教授をはじめ,ご協力頂きました全ての先生方にこの場を借りて厚く御礼申し上げます.

鷲尾絢子

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