理事長挨拶

特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
理事長 松尾敬志

理事長

人生100年時代を迎え、歯科もその役割、そして考え方を変えつつあります。これまでの歯科は、むし歯などでできた歯の欠けた部分を治したり、歯周病などによって失った歯を補って『噛む機能を回復する』というのがその大きな役割でした。しかしこれからは、『できるだけ自分の歯を失わず一生を過ごせるよう患者さんに寄り添って、口の機能を保っていく』というのが歯科の役割になると考えられます。

日ごろ患者さんと接していて感じることは、患者さんは歯を抜かれたくないのはもちろんのこと、歯をできるだけ削られたくないと切に願っておられるということです。しかし残念なことに、例えばむし歯が進み歯の根だけになって噛むという機能が果たせなくなると、これを抜いてブリッジや入れ歯にするというのがこれまでの考え方でした。

噛むということを最優先にすると正しい選択ですが、ブリッジや入れ歯は当然のことながら、抜いた歯の負担を周りの歯にかけるということになります。この負担が残りの歯の寿命に影響することが明らかになってきました。噛む機能が損なわれた歯でもなんとか持たせ、残った歯を大切にすることも長生き時代を迎え、患者さんのひとつの選択肢ではと思います。

むし歯や歯周病になると歯の磨き方が悪いからといわれますが、実際はもっと複雑で、口の中の細菌の種類や量、唾液の量や質、噛み合わせの具合、そして全身の状態など、多くの要因が絡んでいることが分かってきました。これらを正しく診断して『患者さんに合った歯科治療を選択していく』ことが歯科医のこれからの役割ではと考えます。

長生き時代を迎えた今、歯科は皆様に寄り添い口の機能を守ることで健康長寿に寄与できると確信しております。特に歯を抜かずに保つという「歯科保存学」は、これからの時代に重要となる歯科分野と考えられます。是非、日本歯科保存学会の市民公開講座などに参加され、むし歯や歯周病に関する知識を吸収して歯を守る智恵すなわち「歯科保存」の考え方をご理解いただき、健康寿命の延伸やQOLの向上に役立てていただければ幸甚です。

2018年7月更新

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