理事長挨拶

特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
理事長 松尾敬志

理事長

本年4月より特定非営利活動法人日本歯科保存学会の理事長に就任しました松尾敬志(まつおたかし)です。私は現在、徳島大学大学院歯科保存学分野の教授をしており、徳島大学病院歯科で日々患者さんの診療にも当たっております。教授になったのは42歳の時でしたが馬齢を重ねてはや63歳、本学会に所属して三十有余年となりました。振り返ってみますと、今ほど世間に歯科保存が求められる時期はないのではないかと思っております。

歯科保存学は文字通り口の中に歯を保存するための学問ですが、英語ではコンサーバティブデンティストリー(Conservative Dentistry:コンス)と言い、むし歯や歯周病を対象にしています。医科でメジャーな診療科といえば内科や外科を思い浮かべますが、歯科では歯科保存科や補綴科、口腔外科がそれに当たります。

さらに医科でも内科は消化器内科とか循環器内科とかの専門に分かれ細分化されてきましたが、歯科保存学の分野でも保存修復や歯周病、歯内療法などに専門化されてきました。しかし、現在は高齢化や在宅・訪問診療、そして将来の人口減少を見越して診療分野の細分化の流れが止まり、総合診療が見直されつつあります。

上述のように歯科保存とは、むし歯になってもできるだけエナメル質などの歯質を保存し、歯の神経(歯髄)を保存し、さらには歯を植えている骨(歯槽骨)を保存することにより、大切な歯を保存・維持して機能させることを目的としています。口の中に残っている歯の数が健康寿命ひいては総医療費抑制にも関係しているというデータが出てきてから、俄然、歯を守る“歯科保存(コンス)”が脚光を浴びるようになっています。

日常の臨床でも、患者さんはやはり歯を抜くとか削られるのは嫌で、できるだけ歯を残して欲しいというのが本当のところだと痛感しています。歯科保存学の分野ではミニマルインターベンション(minimal intervention of dentistry : MI)の概念が導入されています。これはむし歯になっても歯質の削除を最小限にとどめ、なるべく歯質を残して治すという考え方で、現在では世界の考え方の主流となっています。

このような歯科保存学を国民の皆様にご理解いただき、歯の保存(オーラル・コンス)による口腔機能の保全を通じて、皆様の健康維持に貢献して行きたいと思っております。

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