理事長挨拶 日本歯科保存学会の将来に向けた展開
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
理事長 北村 知昭
日本歯科保存学会は,保存修復学・歯内療法学・歯周病学に関する研究・臨床・教育を通して国民の健康・福祉に貢献する学術団体です.「歯を抜くことなく,いつまでも自分の歯で噛めるように治療を行い,大切な歯を口の中に維持,保存し機能させていくことを目的とした3つの分野に関わる人々の集まり」であり,歯科医療・歯科医学を支える数多くの成果を生み出してきました.
本邦では近年,歯科専門医をとりまとめる日本歯科専門医機構が設立され,厚生労働省からは日本歯科専門医機構が認定した歯科専門医に限り広告可能とすることが示されています.本学会は,歯科保存治療を対象とする歯科専門医の認定に向けて2021年から関連学術団体と共に活動を開始しました.そして2024年,日本歯科専門医機構が認定し厚生労働省が広告可能とする「歯科保存専門医」が誕生しました.
う蝕の管理から高度な歯内療法までを対象とする「歯科保存専門医」は,歯周病専門医をはじめとする各種歯科専門医および全ての歯科医療従事者と連携し,国民の「口の健康」向上に貢献します.そして本学会は,国民の信頼に応えるべく,関連学術団体と連携して歯科保存専門医制度を発展させていきます.
また本学会は,公益社団法人日本歯科衛生士会と連携し,認定歯科衛生士(う蝕予防管理)制度も運用しています.本学会が運用し日本歯科衛生士会が認定する本制度の開始に伴い,歯科衛生士の本学会参加が増加しています.このように,様々な歯科医療従事者の学術団体とも連携し,本学会は歯科医療に貢献していきます.
国際的な活動としては,本学会は大韓民国・大韓歯科保存学会や中華民国・台湾牙體復形学会をはじめとする海外学術団体と連携しています.本学会には国際的に活躍する会員が数多く在籍しています.本学会の会員個々が持つ繋がりを出発点とした国際協力関係のさらなる展開を本学会は推進します.
これまで構築してきた成果を基盤とし,口・歯に関する研究と治療技術の開発,そして歯科保存専門医制度の運用を通して,日本歯科保存学会は国民の健康・福祉と国際的な歯科保存学の発展に貢献していきます.
今後とも,日本歯科保存学会を宜しくお願い申し上げます.
2025年4月